新型コロナウイルス 5類感染症へ移行
2023.6.21
3年以上にわたり世界中の社会生活に多大なる影響を及ぼした新型コロナウイルスが、日本では5月8日から5類感染症へ移行され対応が緩和されました。そのためか感染者数はやや増えているようですが(当院でも週に数名が検査陽性となります)、今のところ重症者数は以前ほどではないとのことです。一方で、少ないですがインフルエンザ感染や溶連菌感染の方もおられ、コロナ拡大前の感染症の発生状況とは異なった印象を受けています。
当院では「発熱・カゼ外来」を午前と午後の終わりの時間に設定しており、今までこの時間帯に来院された一般診療の方にはご不便をおかけし深くお詫び申し上げます。今後はもうしばらくの間「発熱・カゼ外来」を継続しつつ、一般診療も十分に行えるよう受付け時間を柔軟に対応してまいります。
新型コロナウイルス 第7波
2022.7.25
新型コロナウイルスの感染拡大が第7波となりました。今回の波は今まで以上に「強力」であることを肌で感じます。特に連休明けから急激に感染者数が増加していることは当院でも実感しています。
このような状況下でも、感染が落ち着いている時と同様な医療提供を心がけてまいります。患者様におかれましても感染拡大防止のための時差診療にご協力をお願いいたします。
便潜血;大腸がん検診
2022.5.2
当院では大腸がん検診の便潜血検査で陽性となった方に大腸内視鏡検査を行っております。その中で4月には二人の患者さんに大腸がんが発見されました。お二人とも内視鏡で削り取れるような小さながんではなかったのですが、幸い手術をお受けになれば十分に完治が見込まれる病状でした。
各種がん検診を定期的に利用して早めに発できれば、負担の少ない治療で完治できる可能性が高くなります。
新型コロナウイルスのワクチン接種
2021.5.29
先日、新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を受けました。テレビなどでは2回目の接種後のほうが副反応は強く出ると言われていますが、私は1回目も2回目の接種した翌日に腕の痛みを感じただけでした。
もうすぐ個別接種が始まります。当日、接種前に何か気になることあれば遠慮せずに質問してください。
※自宅で予診票の記入を済ませておいて下さい。
花粉症
2021.1.27
天気予報ではそろそろ花粉の飛散が始ったようです。今年は新型コロナのため、くしゃみをするにも気を使うことが多いと思われます。また、目や鼻をご自身の手で触ることも感染予防の点では気になるところです。
花粉症は早めに服用を開始し、さらに症状に応じて点鼻薬や点眼薬を併用することで症状を緩和できます。お気軽に相談下さい。
成人健診・胃がんリスク検診について
2020.11.23
先月、町田市から健診(検診)受診後の状況について連絡がありました。成人健診(特定健診)で異常が認められ受診勧奨対象となった方のうち、実際に受診された方は8.4%にとどまっているとのことです。また、胃がんリスク検診(ABC検診)では、要精密検査とされた方のうち約220名が精密検査をお受けになったかどうか不明とのことでした。いずれも対象となる方に町田市から連絡があるとのことです。
健診(検診)結果で分からないことがあれば遠慮なくご相談ください。
新しい生活様式
2020.5.11
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が厚生労働省から提示されました。その中で「手洗いは30秒程度かけて水と石鹸で丁寧に洗う」という項目があります。個人的には石鹸を2回使って手を洗うとより効果的だと思います。1回目は気になる部位を重点的に、2回目は①手のひら ②手の甲 ③指先(爪の間も) ④指の間 ⑤親指 ⑥手首の順に洗うと良いと思います。
新型コロナウイルスについて
2020.4.7
新型コロナウイルスの感染拡大に対して緊急事態宣言が出されました。市役所のホームページでは町田市の感染者は4月7日で16人と報告されています。これらの多くは症状のある方だと思われますので、症状のない人(不顕性感染といいます)は恐らくこの数倍はいるのではないでしょうか。この様な状況では、一人ひとりが「自分も感染しているかもしれない」という意識を持って、コロナを人にうつさないための行動が大切だと思います。例えば一度使ったマスクでも洗って2枚重ねたり、あるいは内側にガーゼを挟むなどすれば、自分が咳やくしゃみをした時に飛沫の量を減らせるのではないかと思います。これはマスクの節約にもなると思います。そして何よりもご高齢者や持病のある方にうつさないことが大切です。この意味で当院ではしばらくの間時差診療を、また状況に応じてガウンと手袋を着用しての診療を行ってまいりますのでご理解をお願いいたします。
自分がコロナに感染しないという観点では、3密の回避・こまめな手洗いの他にご自身の体調を整えておくことが大切だと思います。具体的には睡眠と栄養です。また、家にこもりきりだと体力のみならず精神的にも良くないので、週に1,2回はウォーキングをすることも良いと思います。特に川沿いなどは3密とは無関係なのでウォーキングにうってつけではないでしょうか(私は恩田川沿いでウォーキングしています)。時々深呼吸を繰り返せば肺にも良い影響があると思います。ゆっくりと大きく吸って、やや強めに吐くことを数回繰り返します。これをウォーキングの間に3-4セットくらい行えば十分だと思います(私の経験則です)。
テレビ・新聞・SNSなどで様々な医師が、感染予防にはあれがいいとかこれがだめだなどと言っています(私のウォーキング時の深呼吸もそうですが・・・)。しかし結局は、普通に考えて良いと思うことをやり、良くないと思うことはやらないというシンプルな対応こそが効果的で長続きするコツなのかもしれません。
胃の内視鏡検査(胃カメラ)の電話予約
2020.4.1
これまで胃と大腸の内視鏡検査は安全面を考慮し検査前に受診していただき日程を決めていたのですが、今回、胃の内視鏡検査(胃カメラ)の電話予約を始めました。
早期胃がんに対して大学病院で内視鏡治療をお受けになった患者様が、その後の経過観察目的に先日電話で検査予約を希望されました。この方はもともと当院で早期胃がんと診断され、大学病院での内視鏡治療後は特に問題なく過ごされているとのことでした。このため検査前の受診はせず、当日問診を行ってから胃カメラを受けていただきましたが安全に検査を終えることが出来ました。
今までも多くの方から、胃カメラの電話予約についてご要望を頂いていたこともあり、また今回の患者様の経験から電話での検査予約を始めさせて頂くことと致しました。
※腹痛・嘔吐・下痢・発熱・背部痛などの症状がある方は、胃カメラによって症状が悪化することがありますので検査前に診察を受けて頂くのが良いと思います。その他の注意点などは「胃カメラ」のページに記載してありますのでご確認をお願いします。
※新型コロナに対する緊急事態宣言が出ている間は、電話予約をなるべく控えて下さいますよう願いいたします(4月7日~)。
医療施設での感染防止対策
2020.3.25
新型コロナウルスの感染が徐々に増えています。感染予防のために、日常の生活ではこまめな手洗い、マスクの使用が大切なことは周知のとおりです。一方、医療施設(病院・診療所)では新型コロナに限らず感染予防のため、カゼや胃腸炎症状の方の診察後には聴診器はもちろんイスやベッド、ドアノブ、電子カルテのキーボードなどの消毒を行い、また換気扇を回すなどして空気の循環にも心がけています。
ご自身の診察後に職員がドアノブを拭いていても、気分を害さぬよう(?)ご理解をお願いします。
血液をサラサラする薬と不整脈のカテーテル治療
2020.3.20
先日の雇用時健診で、以前に心房細動という不整脈に対してカテーテル治療を受けたことがある方がいらっしゃいました。この方の心電図を拝見すると、不整脈は完全に治っていました。
心房細動は不整脈の中でも「脳梗塞」という重篤な病気を引き起こす可能性があり要注意なものです。原因は心房の不規則な「振るえ」のために血液が淀んでしまい、小さな塊(血栓といいます)を生じ、脳の血管に運ばれ詰まってしまうことで起こります。「血液が固まる」というとても大切な性質が悪い方向に働いてしまうのです。
心房細動では、このような血栓を生じさせないために血液をサラサラする薬(抗凝固薬)を服用していただくことが多いのですが、抗凝固薬は本来人の血液が持っている「固まる性質」を抑え込む薬です。「血液が固まりにくくなる」=「出血が止まりにくい」と考えられますから、出来れば服用したくない薬とも言えます。
以上の観点からカテーテル治療(私には出来ませんが)で心房細動を治すことは、「本来人が備えている能力」を抑え込むための薬の服用から解放される、侵襲の少ないとても優れた治療法だと思います。
胃を手術した後の胸焼け
2019.6.7
胃がんや潰瘍で胃の手術受けた後、胸焼けを感じることがあります。これは「逆流性食道炎」といわれ、手術によって「胃の入り口」が下の方へ引っ張られて変形することにより、胃酸などの消化液や食べたものが胸の方へ逆流しやすくなってしまうことが原因です。健康番組などで良く耳にする、胃の手術を受けていない場合の通常の逆流性食道炎と異なり、胃酸を抑える薬が効きにくいこともあります。
対策としては、1回の食事の量を少なくしたり、夕食から就寝までの時間を3時間くらいあけるなどの生活習慣の見直しが大切です。内服薬では胃酸を抑える薬に加えて「経口蛋白分解酵素阻害剤(難しい名前ですが・・・)」を併用すると症状が和らぐこともあります。
ドックや検診を受けたのであれば・・・
2019.5.1
検診やドックでコレステロールや中性脂肪の上昇、あるいは高血圧や高血糖さらには肥満(BMI高値)などを指摘されたことのある方もいらっしゃると思います。これらの状態は通常、すぐに何か症状を引き起こすものではないので指摘されてもそのままにされがちですが、5年10年の単位で放置しておくと全身の動脈硬化を早める原因となるのです。その結果大事な臓器である脳と心臓の血管も硬化が進み傷んでしまい、血管が詰まったり破れたりして生命にかかわるような重篤な病気を引き起こすことがあります。脳の場合は「脳梗塞」と「脳出血」、心臓であれば「心筋梗塞」です。また糖尿病の治療が不十分な場合には脳や心臓に加えて、腎臓・目・足の血管も徐々に傷んできてそれぞれに重大な障害を起こすこともあります(腎不全・網膜出血・足の壊死です)。
せっかくドックや検診を受けたのであればその結果をご自身で確かめ、疑問があれば是非お気軽にご相談ください。
花粉症
2019.3.15
花粉の量がかなり多くなっています。このため、今まで花粉症ではなかった方や、ここ数年間花粉症の症状がなかった方が鼻みずや目のかゆみ、くしゃみなどで受診されます。マスクなどの予防と内服薬、さらに症状に応じて点鼻薬や点眼薬を併用すると症状を緩和できますのでご相談下さい。
頂いたご意見について
2019.3.13
診療予約や処方、診察中の声などについてご意見を頂いております。それぞれについて状況をご説明させていただきます。
診療予約についてですが当院は様々な年代の方が受診されます。中にはインターネットに不慣れな方もいらっしゃると思われますので、原則的には受付け順に診察をさせていただいております。土曜日以外でしたらあまりお待たせすることなくお呼びできると思います。
処方については、妊娠中の方はもちろん、授乳中の方、複数服薬されている方などにあたらしく投薬をする時は一層の配慮が必要です。そのため状況に応じて近隣の薬剤師に確認したり、薬剤の資料で確認させていただいております。
診察中の声が聞こえるとのことについては、待合室の椅子の配置を一部変更いたしました。
以上、ご理解を宜しくお願いいたします。
急性胃腸炎
2019.1.31
お腹の調子が悪くて受診される方が少し増えてきています。急に下痢をする場合は「急性腸炎」、さらに胃の痛みや嘔気を伴う場合には「急性胃腸炎」と考えられます。原因としては寒い時期だとノロウイルスやいわゆるお腹のカゼが、夏場には細菌が原因になることが多いと思います。その他に抗生剤などの薬剤、宴会シーズンには暴飲暴食が原因と思われる方もいらっしゃいます。原因が何であれ血便や強い腹痛がなければ、治療は水分補給と内服薬で良いと思います。水分としては常温のスポーツドリンクや温めの紅茶などが良いと思います。吐き気が強くて水分を摂取出来ない時や、飲水するとすぐに下痢をする場合などは点滴が必要です。急性胃腸炎のときには「脱水の予防」がとても大切です。
インフルエンザが流行ってきました
2018.12.30
12月の下旬ころから当院でもインフルエンザの患者さんが増えてきました。ほとんどの方は38℃以上の発熱を認めていますが、中には午前中に受診されたときにはまだ37℃台でインフル検査は陰性でしたが、夕方になり39℃近くまで上昇し再診されもう一度インフル検査を行ったところA型陽性となった方もいらっしゃいました(ご家族にインフルの方はいらっしゃらないとのことでした)。
インフルエンザは感染力が強いので「カゼかな?」と思ったら早めにマスクを着用するなど、ご家族への配も大切です。そして安静・睡眠・栄養をしっかりと取ってください。
皆さまが万全な体調で新年を迎えられますよう願っております。
下腹部の痛みと血便;虚血性腸炎
2018.11.28
最近、数名の女性が腹痛と血便を認め受診されました。受診当日に大腸内視鏡検査を行ったところ左側の大腸がただれていて「虚血性腸炎」と考えられました。
この病気は比較的高齢の女性に多い傾向があります。大腸がただれる原因はその部位の「血の巡りが悪くなってしまう」ことで、多くは左側の大腸(下行結腸やS状結腸)です。典型例では、急に下腹部(やや左側)が痛くなり、痔の時の出血と異なり少し濁った血便を伴います。問診と腹部の診察でおおよその見当がつきますが大腸内視鏡で病変部を確認できればさらに確実です。治療は程度にもよりますが食事制限と点滴が基本です。「腸のただれ」や「腹痛」がきつい時には絶食のため入院が望ましいと思います。
症状が治まってしばらくしてから、癌など他に出血をきたす病変を確認するため下剤をしっかりと内服して再度大腸内視鏡を行い、大腸全体を確認しておくことが望ましいと思います。
インフルエンザの予防接種
2018.10.30
インフルエンザの予防接種が始まっています。厚生労働省のホームページによると、インフルエンザは例年12月~4月頃に流行し、1月末~3月上旬に流行のピークを迎えるので、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいとされています。
しかし予防接種の効果は通常5か月間程度と言われており、また接種後2週間くらい経過して免疫が出来るとされていますので、接種するのであれば11月中に済ませておいた方が流行の時期をカバーできるので「より効率的」だと思います。
やけど
2018.9.19
先日、料理中の油がはねて右腕をやけどした方が受診されました。やけどの範囲はこぶしくらいの大きさで皮膚は赤くなっていました。患者さんは朝早くにやけどをされ昼過ぎまでご自身で水道水などを使って患部を冷やしていたとのことです。やけどの初期治療の原則は「流水で冷やすこと」なのでこの患者さんの対応はとても良かったと思います。受診されたあとは軟膏を塗布して痛み止めを処方し帰宅されました。
一般的にやけどの重症度は「範囲」と「深さ」で決まり、成人では全身の15%以上をやけどした場合には患部の処置に加え入院し点滴を行うことが推奨されています。通常、範囲に関しては「片腕で全身の9%」と考えられているので、日常生活でやけどをしてしまう場合は広範囲になることは少なく、入院が必要になることはほとんどありません。一方、深さに関しては発赤や水疱(水ぶくれ)程度であれば痕が残ることはありませんが、白くなったり痛みを感じないようなやけどの場合は深い可能性があり、治りにくく場合によっては手術が必要になることもあります。
特殊なやけどに「気道熱傷」があります。これは焚き火をしている時などに炎や高温の蒸気を吸い込んでしまった場合に起こります。症状は呼吸困難で、気道熱傷が疑われる場合には入院が必要です。一瞬でも吸い込んでしまった時には、体の不調を感じなくてもしばらくしてから症状がでることもあるのですぐに受診すると良いと思います。焚き火中に大きく燃え上がって眉毛が焦げてしまった場合などは気道熱傷の合併も考えられます。注意しましょう。
肝臓の数値
2018.9.10
検診の採血で肝臓の数値が高いこと(肝機能異常と言います)を指摘されることがあります。精密検査を勧められた場合にはエコー(超音波)検査で肝臓の状態を確認し、追加の採血で肝炎ウイルスなど特殊な原因があるかを確認しますが、ほとんどの場合が「脂肪肝」です。以前は「アルコール性脂肪肝」が多かったのですが、近年はアルコール以外の原因も問題となっていて、主に「肥満」によるものです。脂肪肝は放っておいてもすぐに何か症状が出るわけではありません。しかし何年もそのままにしておくとだとだんだん肝臓に負担が蓄積し肝炎から肝硬変へと進行し戻らなくなってしまいます。
脂肪肝には高血圧や高コレステロールの時のような内服薬はないので、禁酒と食事・運動療法が大切になります。
すりキズ
2018.8.17
転んで手や膝などにすりキズができた時、どのように手当てをしていますか?特に外で転んで道路や地面で擦れてしまった時には、まずは水道水でキズを良く洗い流すことが大切です。キズに砂利や砂などの「異物」がこびり付いたままにしておくと、膿みやすくなりその結果なかなか治らなくなることがあるからです。市販の消毒薬やキズ保護テープを使うよりも先に、まずは「水で洗う」ことこそがキズを治す近道だと思います。キズ洗うときには痛みを伴うことも多いので可能な範囲で良いと思います。その上で、まだ砂などが残っている場合やキズがちょっと深めであったり、出血が続いたりといった時には早めに受診されるのが良いと思います。
熱中症
2018.7.23
連日の猛暑のため熱中症になる方が増えています。熱中症の予防や対策については色々な番組で分りやすく説明されているので多くの方がご理解されていると思います。しかし、ちょっと極端と思われる説明もあるので気になった点をいくつか整理したいと思います。
水分・塩分の補給や水分の摂取量については、「何をどれだけ」と言ったようにそんなに神経質になる必要はなく、「少し多いかな?」と思うくらいの量で良いと思います。通常、健康な方(あるいは成人健診で異常のない方)であれば体内の水分や塩分の量は「腎臓」がちょうど良い量に調節して、不要な分は尿として排泄してくれるのです。ですから一時的に多く摂取し過ぎても心配ないと思います。
「スポーツドリンクは糖分が多い」と言う意見も聞かれますが、気になる方は水で薄めて飲むと良いと思います。健康な方が一時的にスポーツドリンクをたくさん飲んでもすぐに糖尿病や虫歯を心配する必要はありません(糖尿病で現在治療中という方はスポーツドリンクで血糖が大きく変動する可能性はあります)。
最後に、腎臓病や心不全・高血圧などで通院中の方は水分・塩分の摂りすぎには注意が必要です。しかし病状が落ち着いていれば、熱中症と思われるときには脱水や血栓症の予防としてしっかりと水分を補給するのが良いと思います。
大腸がん検診
2018.6.26
大腸がん検診は便潜血検査や検便検査とも言われ、便にわずかでも血液が混ざっていれば陽性となり、通常は大腸がんの可能性を考慮し精密検査を勧められます。しかしこの検便検査は大腸に限らず食事の通りみち(口から肛門まで)のどこかで出血していても陽性となり得ます。極端な場合、鼻血を飲み込んだあとでも陽性となりますが、出血の原因が「がん」だったら困るので精密検査を受けましょう言うことなのです。実際にはがんとなりうる部位はほとんどが胃か大腸です(小腸のがんは極めて稀です)。
このような理由から、当院では検便検査が陽性で受診された方で、胃の検査(バリウムや胃カメラ)を受けていない方には、大腸の精密検査に加えて胃カメラについてもご説明しています。今から3-4年ほど前になりますが、勤務医の頃、検便検査陽性で受診された方に胃カメラを行ったところ、2名の方に胃がんが見つかったことがあります(胃潰瘍の方も2名いらっしゃいました)。
せっかく検診を受けたのであればその結果をしっかりと活用することが大切だと思います。そしてそのお手伝いをするのが開業医の役割の一つだと思っております。
成人健診の目的
2018.5.22
町田市では成人健診の対象者の方にもうすぐ受診券が送付されると思います。成人健診の一番の目的は高血圧、脂質異常症(中性脂肪の上昇など)、糖尿病、肥満などの生活習慣病を早期に見つけ、その結果脳卒中や心筋梗塞などの重大疾患を防ぐことです。
ではなぜ何の症状もない生活習慣病を早期に見つけることが重要なのでしょうか?それは生活習慣病を放置しておくと動脈硬化が進み、特に脳や心臓の動脈が硬化すると脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくなるからです。これらの病気は一度発症すると命に関わることはもちろん、たとえ救命出来てもその後の生活にとても重大な支障や制限をきたすことが多くなります(行政側としては高額な医療費も問題にしていると思いますが・・・)。つまり生活習慣病は「症状が出てから治療するのでは遅い」と言うことです。しかし治療と言っても「必ずクスリを飲む」と言う訳ではなく、食事や運動療法で良くなることもあります。
せっかく検診を受けたのであれば、その結果をしっかりと確認して下さい。分からないことがあれば遠慮なくご相談ください。
胃もたれ
2018.4.27
何となく胃のあたりがすっきりしない」という経験をされた方は多いと思います。「痛み」でもなく「吐き気」でもなく、しかし「あまり食欲もない」といた感じでなかなか言葉にしにくい症状ですが、近い表現を挙げると「胃もたれ」でしょうか。
胃もたれとは食事が胃の中に停滞したときの症状と言われています。原因としては暴飲暴食、脂物の食べ過ぎ、飲みすぎ、ストレスなどがあります。その他には胃・十二指腸潰瘍や胃がんなど実際に胃カメラで確認することのできる病気のこともあれば、「機能性ディスペプシア」といって胃の排出能や貯留能が低下した状態が原因となることもあります。
治療としては消化の良い食事と胃薬の内服で良いと思います。それでも改善しない時は胃カメラや場合によっては腹部エコーも行い原因を検索しておくと安心です。
糖質制限、その後
2018.4.9
最近「糖質制限は良くない」といった研究結果を多く見かけるようになりました。実際にそれらの論文を読んではいませんが、記事から推察すると、どうやら「極端な糖質制限」を動物で行ったり、健康な人に対する糖質制限の経過をもとに考察を進めているようです。
従来から糖尿病ではカロリー制限が、高血圧では塩分制限が基本となる治療です(運動療法も)。この時の「制限」の意味は「限りなくゼロに近づける」ことではなく、患者さんに応じて摂取量の目安を決めていたはずです。仮にカロリーや塩分の摂取ゼロを目指したら、すぐに具合が悪くなってしまいます(というより命にかかわります)。「糖質制限」も同じです。限りなくゼロにするのではなく、今までの摂取量と比べしっかりと減らすことなのです。しかもこの「糖質制限」は、対象となるべき人が糖尿病や脂質異常症・肥満と言った「病気を患っている人」であり、これらの病気に対する「治療」なのです。健康な人は糖質制限する必要はないと思います。
しかし糖質は、極端な制限を続けても体の代償機能でしばらくは体調を維持できてしまいます。ですから治療終了後も、同じ制限を長期間続けてしまい、その結果上記のような「糖質制限は身体に悪い」と言う研究結果が出てしまうのだと思います。
何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。やりすぎはいけません。患者さんの病気の改善具合に合わせて、今までの治療を見直すことは普通のことであり、糖質制限も摂取量を緩和していけば良いと思います。
私も厳しめの糖質制限で体重を減らし、肥満の他に脂質異常症・高尿酸血症、高血圧・脂肪肝などの病気が改善しました。しかし体重が下がり止ってからは、昼食にはパンを食べ、時々チョコやケーキなども口にしています。
腹部エコー検査
2018.3.20
腹部エコー検査(超音波検査)は主にお腹の中の「詰まった臓器」の観察に適しています。具体的には肝臓・すい臓・胆のう・腎臓です(厳密には腎臓はお腹の臓器ではないのです・・・)。通常、肝臓の病気で痛みなどの症状を呈することは少ないのですが、「胆のう結石」では腹痛や吐き気を、「すい炎」では腹痛や背部痛を認め、このような病気が疑われる時にエコー検査は有効です。またこれらの臓器の腫瘍(例えば肝腫瘍やすい臓がんなど)のスクリーニングにも適しています。
エコー検査は痛みを伴わずすぐに行うことが出来ます。当院のエコー検査は予約不要ですので、なるべく食事を摂らずに来院してください。
*午前中ならば朝食を摂らずに、午後を希望されるときは昼食を摂らずに来院して下さい(朝食は食べて頂いて構いません)。お茶や水は飲んでも大丈夫です。
血便
2018.2.26
食事の通り道(食道から肛門)までのどこかで出血した場合に血便となります。もちろん出血が少量であれば目で見ても分りませんが検便(便潜血検査)では陽性となります。
一般的に、胃や十二指腸からの出血では便は黒くなりタール便と呼ばれ、大腸からの出血では赤く(または暗赤色)、肛門からの出血(痔)では鮮紅色となります。小腸から出血することはほとんどなく、従ってタール便の場合には胃カメラ(胃内視鏡)を、赤い場合には大腸カメラ(大腸内視鏡)を行うことによって原因(潰瘍やがんなどがないか)を確認します。また検診で検便のみを行い「陽性」であった場合には、胃と大腸両方の内視鏡をお受けになることが望ましいと思います。
背中のできもの;粉瘤
2018.1.23
「粉瘤」というしこりをご存知でしょうか。主に背中にできることが多く、潰すと臭いのする脂のようなものが出てくる「できもの」です。通常は痛みがないのですが、感染すると(菌が入り込むと)数日で赤く腫れてきて痛みを伴ってきます。この状態を「感染性粉瘤」といいます。
治療としては中身を出すことが大切です。局所麻酔後に切開して「膿み状になった脂」をしっかり出して、可能であれば脂が包まれていた「袋」も除去すると再発しません。この袋が残ってしまった場合には、傷のジクジクした状態が治らず手術が必要になることもあります。
インフルエンザ
2018.1.6
昨年末から当院でもインフルエンザ感染の方が多くなってきました。多くの医療機関では今の時期、発熱・関節痛・咳などの症状を認める場合にはインフルエンザの迅速検査を行っていると思います。通常の迅速検査は発症翌日に行うと感度が高いと言われています(国立感染研究所 感染情報センター)。
治療の基本は安静・睡眠・栄養です。要は「しっかり食べて良く寝る」ことです。タミフルなどの抗インフルエンザ薬は、発病後2日以内に服用すれば症状を軽くし、罹病期間の短縮も期待できると言われていますが、解熱鎮痛剤を服用すると発熱や痛みはさらにラクになると思います。
従来ではまずA型インフルエンザが流行し、その後B型インフルエンザが多くなる印象でしたが、今シーズンの当院の傾向ではすでにB型の方も多いように思われます。いずれにしてもワクチン接種・手洗い・うがいによる予防と他の方へうつさない配慮(マスク・咳エチケット)が大切です。
腹腔鏡手術
2017.12.19
近年、お腹の手術では腹腔鏡手術が話題になっており、多くの方が「腹腔鏡」という言葉を聞いたことがあると思います。実際に、病院によってはこの手術が主流となっている施設も多くなってきていると思います。
もともと腹腔鏡が標準となったのは、胆石に対する「胆のう摘出術」に対してです。今では「胃がん」や「大腸がん」に対しても多くの施設で取り入れられ、大学病院などでは難易度の高い「食道がん」や「肝臓がん・すい臓がん」でも行われています(食道がんでは、食道が胸の中を通っているため「胸腔鏡」が使われます)。
腹腔鏡の手術はキズが小さいため「体の負担」と「術後の痛み」が少なく、患者さんには「優しい手術」だと思います。しかし、手術を行う側(外科医)からすると、「易しくない手術」なのです。理由はいくつかありますが、私の経験では主に手術部位の「視野(見え方)」や「触感」に難があるということです。具体的には、視野に関しては立体感・遠近感が把握しにくいということです(拡大して見えることは良いのですが・・・)。また、触感に関しては、臓器同士の癒着が強い時にこれを剥がす際、手の感覚で安全を確保する(臓器損傷を防ぐ)ことが出来ないということです。その他の理由としては「器具の操作における制約」などもあります。
腹腔鏡手術に用いられる器具の改良は日進月歩で、技術面でも様々な工夫がなされてきました。このように多くの先生方の努力により安全性もより高まってきています。しかし実際には「まだまだ施設格差があり、発展途上中の手術である」というのが、多くの外科の先生方の本音ではないかとも思います。
痔
2017.12.1
一般に「痔」というと何となく「恥ずかしい病気」という意識があると思いますが、最近では成人の三人中ひとりに痔がある(痔主?)と言われているくらい多い疾患です。症状は肛門の痛み・腫れ・出血がほとんどです。一口に「痔」と言ってもその病態は大きく分けて3種類あります。
最も多いのがいわゆる「いぼ痔」です。これには「内痔核」と「外痔核」あります。中でも「内痔核」が多くを占め、その原因は肛門の細い静脈のうっ滞(血液の流れが悪くなること)やこの静脈周囲の組織が弛んでしまうことなどが考えられています。便秘の時に力んでしまうとこの静脈が肛門の外に出て来てしまいイボのようになるのです。重症の場合は出っ張ったまま戻らず、さらに腫れて痛みが悪化することもあります。治療は症状にもよりますが、まずは排便のコントロールと外用薬(肛門に塗る軟膏)です。それでも症状が改善しないときには手術を考慮します。手術には「痔を切り取る方法」、「緩んだ組織を縫い縮めて痔を引っ張り上げる方法」、最近では痛みが少ないと言われる「硬化療法」などがあります。「外痔核」は肛門の縁にできる一種の血豆のようなものです。内痔核と比べ比較的急に腫れて、痛くなることがあります。治療はこれもまずは薬ですが、痛みが強いときや痔そのものが大きいときは切開し血豆をつぶすと数日で症状は治まってきます。
次は「切れ痔」です。正式には「裂肛」と言います。裂肛は固い便が出るときに肛門が切れてしまうことで生じることが多いようです。いけないのは痛いから排便を我慢する→そうすると便がさらに固くなる→しかしいつかは排便するときがありこの時にさらに切れて痛くなる。このような負のサイクルになると裂肛がひどくなり最後には肛門が狭くなってしまいます。治療は初期であれば排便のコントロールと外用薬です。いよいよ肛門が狭くなり排便に支障を来すようであれば手術が必要となります。
最後は「痔ろう」です。これは肛門周囲に膿が溜まる「肛門周囲膿瘍」という状態から排膿(膿が出て)し、その後しばらくしてもジクジクした状態が続く場合です。肛門周囲膿瘍は通常肛門の痛みや発熱を伴って病院を訪れる方が多いです。麻酔後に切開・排膿すると症状は速やかに軽減します。多くの方はそのまま治りますが、時々前述のようにジクジクした状態が続き「痔ろう」となります。治療は手術が必要ですが、簡単なものからかなり複雑なものまであります。
胃の病気とピロリ菌
2017.11.13
多くの方はピロリ菌について「名前きいたことがあるけど・・・」や「胃がんの原因?」という認識を持っているのではないでしょうか。ピロリ菌は現在、胃の病気に限らず血液病のなど様々な病気との関連が指摘され、この菌の発見によりオーストラリアの研究者はノーベル賞を受賞しています。
今回はピロリ菌と胃の病気との関わりについてお話します。まずは胃潰瘍です。胃潰瘍の原因にはストレス・薬剤などもありますが、やはり根本的にはピロリ菌が原因になっていることが多いと思われます。胃潰瘍の治療と一緒にピロリの除菌も行うと再発の可能性はかなり軽減できます。ちなみに十二指腸潰瘍もピロリ陽性ならば胃潰瘍と同じように考えて良いと思います。注意しておきたいのはピロリ陰性の胃・十二指腸潰瘍もあり、この場合は潰瘍が治って胃薬を止めてしまうと時々再発することがあります。
次は胃がんです。ピロリ菌感染による萎縮性胃炎の状態が続くことで胃がんになりうると考えられています。ピロリの除菌により胃がんのリスクを軽減できるとの考えから、ピロリ菌陽性の萎縮性胃炎には数年前から除菌治療が保険適応となりました(それ以前は潰瘍がある場合に保険適応でした)。ここでも注意があります。それは、胃がんが心配だからと言って胃の検査を受けずにピロリの除菌をするのは良くないということです。必ず胃の検査(胃カメラまたはバリウム)で潰瘍やがんなどの有無を確認し、除菌するか決めるということです。またピロリ菌が除菌できたからと言って安心せず、除菌が成功しても定期的に胃の検査を受けることは大切です。
最後に胃の特殊な腫瘍;MALT(マルト)リンパ腫です。胃がん程は性質の悪い病気ではないのですが、治療せずにいると大きくなり命に係わることのある病気です。治療はピロリ陽性であれば、通常はまずピロリの除菌が第一選択となります。これで治癒しない場合には手術や放射線治療が行われます。
ピロリ菌は日本の人口の約60%に感染が認められると言われています。ピロリ菌の検査方法は胃カメラで組織を採取する方法・息を吐く方法・採血などがあります。胃痛やもたれなど胃の調子が悪いときにはご相談下さい。
なお、除菌に際しては下痢などの副作用もあり、また10%位の方は再除菌が必要となることもあります。
鼠径(そけい)ヘルニア
2017.10.24
「脱腸」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。通常は「鼠径ヘルニア」のことを表しています。幼児の場合と成人の場合では成因は異なり、今回は成人の場合についてお話します(ちなみに「鼠径」とは股関節周囲のことで、「ヘルニア」とは体内のある臓器が、本来あるべき部位からはみ出た状態のことです)。
成人の場合の鼠径ヘルニアは中高年の男性に多く、「鼠径部が腫れる」、「鼠径部に違和感がある」といった症状で気づく方が多いようです。その成因は一言で言うと「筋膜の緩み」です。男性は生まれてくる少し前に睾丸が自分のお腹の中から陰嚢に向かって降りていきます。この時、睾丸は腹壁を構成する筋膜の「くぼみ」を通ります。この「くぼみ」の部分が緩みここからお腹の内容物(腸であったり脂肪組織:大網といいます)がはみ出して前述のような症状が出ます。
治療は「筋膜の緩み」を補強することが基本です。内服薬や筋力トレーニングではこの「筋膜の緩み」を治すことができないため手術が必要となります。従来の手術は筋膜の健常部を縫い縮めて緩んだ部位を補強する方法が一般的でしたが、25年ほど前からはポリプロピレンというものでできた「メッシュ」という人工膜で補強する術式が用いられるようになり徐々に主流となってきました。最近ではさらに改良が進み、様々な形状の物や柔らかいメッシュも登場しています。また腹腔鏡によるメッシュを用いた手術も行われるようになっています。通常、いずれの手術も所要時間は1時間程度、術後数日で退院となります。
鼠径ヘルニアは「がん」のような悪性疾患ではないので放置していても命にかかわることはほとんどありませんが、稀に鼠径部が腫れたまま戻らず強い痛みを伴うことがあります。この状態を「かんとん」といい、はみ出した腸が締め付けられて数時間すると腐ってしまうため緊急手術となる場合もあります。
鼠径部に「腫れ」や「違和感」がある場合には、一度ご相談下さい。
胆石
2017.10.3
先日、NHKの番組で胆石について放送していました。胆石で問題となるのは「痛み」と「胆のうがん」であり、これらの要点を分かり易く解説しており「さすがNHK」と感心しました。ただ、胆石の大きさについては若干?と思うところもありました。例えば小さい胆石では胆のうから落っこちて総胆管に詰まる可能性があることです。番組では十二指腸に抜けてしまえば「便と一緒に出てくる」、詰まってしまえば「黄疸となる(白目が黄色くなる)」と言っていました。確かにその通りなのですが、十二指腸に出る前に詰まってしまうと「急性閉塞性化膿性胆管炎」という緊急を要する疾患になってしまうことがあります。この疾患は中小規模の病院でも年に数名は経験するもので、胆のうがんよりも明らかに患者さんの数が多いと思われます。症状としては「発熱・黄疸・腹痛」が典型です。
「胆石」だけで症状のない方は年1回のエコー検査を勧められることが多いと思いますが、それで良いと思います。
一応今も糖質制限継続中
2017.9.20
私自身が糖質制限を始めて4年目となり、すでに体重は「減り止った」感じです。一方、もともと甘党なのでこのまま一生ケーキを食べないのではさすがに「辛い」と思うようになり、最近はケーキの他にチョコ・アイス・羊羹・パンなど少しは食べるようになりました。このためか便秘も若干改善傾向のように思います。その代わり「糖質を制限する時はしっかり制限する」というようにメリハリをつけています。
最近ではテレビなどで「糖質制限」のデメリットなども報道されるようになりました。「制限」と言うと「まったく摂取せずゼロにする」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、そうではありません。糖質を「厳しく」制限する方法から「緩やかな」方法まで、自分の体調や体重に合わせて行っていけば良いと思います。
私としては、糖質制限をして「人生が変わった」というのは大げさかもしれませんが、ズボンのサイズの劇的な変化を体験して、やはり「やって良かった」と実感しています。体が軽くなったのでジョギングをしても膝が痛くなることもなくなり、今ではハーフマラソンに挑戦できるようにもなっています。毎年11月に行われる「小江戸川越ハーフマラソン」には昨年に引き続き今年も参加する予定です。
「糖質制限」はメタボで悩んでいる方には是非とも試して頂きたい「治療法」です。
*私が参考にさせて頂いた書籍の著者
江部康二先生 牧田善二先生 山田 悟先生
糖質制限の盲点
2017.9.6
糖質制限では必要なエネルギーは肉類・魚介類を主体にたまごなども含めて「たんぱく質」と「脂質」で摂取していきますが、なかなか効果の現れない方もいるようです。その原因は、糖質が含まれていることに気づかず食べてしまうからだと思います。糖質制限ではやはり主食となる米・麺・パンの制限が大切で、このことは多くの方が理解されていると思います。その他に芋類・トウモロコシにも糖質はたくさん含まれていますし、意外なのはカレーやシチューのルウにも糖質が多いということです。前回も少し触れましたが、果物も果糖が含まれているので要注意です。さらに徹底するならば、焼き鳥や焼肉の「たれ味」も「塩味」に変更し、餃子は「皮」を残して「餡」だけ食べるなどの気遣いも必要です。調味料ではマヨネーズは良いと思いますが、ケチャップやソースはなるべく控えると良いでしょう。牛乳の代わりに豆乳(しかも成分無調整)にするなどの細かい点にも気をつけるとなお良いと思います。
アルコールに関しては蒸留酒(焼酎やウイスキー)と糖質オフの発泡酒なら制限なしです(但し、肝臓に注意です)。おつまみは冷奴や漬物、チーズやクルミなどが手軽でお勧めです。
なお、肝臓病や腎臓病がある方、現在糖尿病で薬物治療中の方などは、糖質制限を行う際には注意が必要です。
アニサキス
2017.8.25
以前、ある飲食店が「食中毒で営業停止」というニュースを見ました。その店のお寿司を食べた人が胃痛のため医療機関で検査を受けたところ、アニサキスが胃の中にいてこれが原因ということでした。
アニサキスとはサバ・イカなどに寄生する白くて細いムシです。これらの刺身を食べた時、胃にアニサキスが入ってしまうと発症します。症状は「腹痛(激痛)」が有名ですが「腹部の違和感」程度で受診された方もいます(しっかり火が通っていれば大丈夫です)。しかしたとえ感染しても重症化することはなく、「患者さんのエピソードを聞いて胃カメラをして見つかる」というパターンがほとんどで、胃カメラでアニサキスを取り除けば治療は終了です。
前の勤務先で私も同じような患者さんを診察しました。その患者さんは刺身を提供した飲食店に対し怒っていましたが、私としては「アニサキス症になったのは飲食店が悪い」と責めるのはその店が可哀そうに思えます。それは刺身が傷んでいたわけでも、細菌が付着していたわけでもないからです。敢えて言うなら「食べた人の運が悪かった」ということになるのでしょうか。
私の尊敬する釣り好きな先輩Drは、釣った魚を自分で刺身にして今までに3-4回アニサキスに当たり、その都度内視鏡で取り除いてもらったそうです(ちなみに先輩は内視鏡の名人です)。美味しい刺身を食べ続けたいならば、そのくらいの覚悟は必要ということなのかもしれません(笑)。
糖質制限と便秘
2017.8.18
糖質と食物繊維を合わせたものが炭水化物となります。食品の成分表示としては糖質だけよりも炭水化物としての量を記載されていることも多く、糖質制限のつもりが炭水化物制限になってしまいます。そうなると食物繊維の摂取量が減り便秘気味になります。これを防ぐために「野菜を食べて食物繊維を摂取すれば良い」と考えてしまいますが、私自身の経験では単に野菜を摂取するだけでは便秘がスッキリ解消しません。
最近注意していることは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスです。しかし実際には不溶性食物繊維が多くなりがちでなかなか難しいのです。水溶性食物繊維は海藻類に多く含まれているとされていますが、そんなに海藻ばかりを食べるわけにもいきません。また、果物は比較的水溶性食物繊維の含まれる比率の高いものもありますが、もちろん果糖(これも糖質です)が含まれています。ですから果物を食べ過ぎると糖質制限にはなりません。
糖質制限に伴う便秘対策は、私としては結構難しい問題と考えていて、最近話題になっている「腸活」に注目しています。
メタボと糖質制限
2017.8.5
検診で中性脂肪や悪玉コレステロールの上昇(脂質異常症)を指摘された方が受診されることがあります。多くの場合そのような患者さんは、お腹が出ているいわゆる「メタボ体型」となっています。ご本人は食事療法の必要性を理解されていて「脂物や卵などを制限している」と話して下さる方もいるのですが、数値が良くならないと不思議に思っているようです。
数年前から、脂質異常症に対しては「脂物や卵の制限」ではなくて、「糖質制限」が有効であることが報告されています。むしろ「卵の制限は不要」と書いてある本もあります。私自身も糖質制限を始めてから脂質異常は改善しメタボ体型から脱却出来ました。卵に関しては多い時で1日に3つ食べることもあります。
糖質制限は空腹の辛さが少なく、効果も確実で優れたダイエット法( メタボ治療)だと思います。しかし便秘などの問題点もあります。時々このコラムで糖質制限について私の今までの経験や書籍に書いてある注意点などをご紹介させていただこうと思います。
犬や猫に咬まれたら
2017.7.22
先日、猫に指を咬まれた女性が受診されました。動物に咬まれた方が受診するといつも思い出す患者さんがいます。
その患者さんは60歳くらいの男性で、腕を咬まれてかなり腫れた状態で受診されました。受診の前の日に咬まれており、何に咬まれたのか訊ねるとなんと『奥様』とのことでした。確かに咬まれた部位を良く見てみると、牙が刺さったような痕はなく「擦り傷」のようでした。ヒトには牙がないので、咬まれた部位が挫滅しそこから菌が入り増殖したものと考えられます(相当な力で咬まないと挫滅しないので、奥様はよほどご立腹だったのでしょう)。その患者さんは咬まれた側の指の痺れも訴えており、腫れがひどくなってしまい神経を圧迫しているようでした。
このようにヒトに咬まれた時でさえ大変なことになるのですから、まして犬や猫などの動物に咬まれた時に放置しておくと「謎の菌」が増殖しさらに大変なことになります。ヒトの体はキズを塞ごうとする力があるので、そのままにしていると菌を体内に閉じ込めてしまい危険な状況になりかねません。治療(処置)の基本はキズが塞がらないようにガーゼをつめておくことです。これによって菌がガーゼに吸い取られることも期待出来ます。場合によっては局所麻酔をした後、キズを切り広げて汚れの除去を促すこともあります(「ドレナージを効かす」といいます)。
動物に咬まれた時は早めの受診を心がけてください。
夏カゼ
2017.7.19
夏にも咳、痰、のどの痛みなどいわゆる「カゼ症状」で受診される方がいらっしゃいます。時には下痢や軟便を伴うこともあります。今の時期のこれらの症状は「夏カゼ」によるものと考えられます。夏カゼも冬のカゼもウイルス感染が原因で発症しますが種類が異なっています。しかし治療の基本は同じで「栄養」「安静」「睡眠」が大切です。要するに良く食べて良く寝ることです。下痢があるときには水分補給も大切です。
ただ夏カゼは長引くことがあるので油断は禁物です。私も先月夏カゼになりましたが咳と痰が10日間くらい続きました。原因は冷房と考えられました。この時期はどこに行っても冷房が効いており、時には冷風が顔に直撃することもあります。かといって冷房を下げてもらうわけにいかない場合も多いかと思います。したがって自分で対策するしかありません。夏カゼのときにどうしても外出しなければならない場合には、1枚はおるもの(薄手の長袖)とマスクを持って、冷風の直撃を防ぐのが良いと思います。
胸焼けと逆流性食道炎
2017.7.11
「逆流性食道炎」という病気をご存知でしょうか?最近テレビでも取り上げられることがあるので聞いたことのある方も多いかもしれません。病気の原因は、食道と胃の境界が緩んでしまい(食道裂孔ヘルニアといいます)、胃酸が食道に逆流して食道がただれて(炎症をおこして)しまうことです。症状としては「胸焼け」が多いのですが、「口が酸っぱい」、「胸の不快感」、「咳が続く」、「胃もたれ」、「のどの違和感」などを訴える方もいらっしゃいます。治療は胃酸を抑える薬の内服が効果的です。
逆流性食道炎は良性の病気ですが、食道がんの原因となることもあるので内視鏡(胃カメラ)で確認することも大切だと思います。